雨滴の落下運動にも数学!?これが解けるとかなりカッコイイ微分方程式(上級編)

微分方程式

どうもビチューです。

前回の続きとして、今度はかなりレベルアップした微分方程式を解説していこうと思います。

定数変化法変数分離などの解法を扱っています。

この記事を読めば、空気抵抗を考えた雨滴の落下運動の典型的な微分方程式を解くことができます。

わからない人でも、雰囲気でなんかすごそうと思ってくれれば幸いです。

それでは早速見ていきましょう。

お名前.com

問題

こんな感じの問題を考えてみます。

\(m\frac{dv}{dt}=mg\)を採用すると、雨雲の高さが仮に800mであるとして、地表に届くところの雨滴の速度は約125m/sとなってしまう.雨滴が重力のほかにvに比例した抵抗力kvを(kは正の定数)受けるとして、次の微分方程式を考える.


$$m\frac{dv}{dt}=mg-kv…①$$

この微分方程式を初速度v(0)=0として解け.

これも前回同様、v=○○という形で求めよということです。

解説

では早速解いていきます。

まず、①の両辺をmでわると、こうなります。


$$\frac{dv}{dt}=g-\frac{k}{m}v…②$$

②の右辺の\(-\frac{k}{m}v\)を左辺に移動させるとこうなります。


$$\frac{dv}{dt}+\frac{k}{m}v=g…③$$

ここで、一旦、③の右辺のgを無視した式を考えます。つまり、


$$\frac{dv}{dt}+\frac{k}{m}v=0…④$$

を考えます。

④から、左辺の\(\frac{k}{m}v\)を右辺に持って行って、


$$\frac{dv}{dt}=-\frac{k}{m}v\\
両辺をvでわって\\
\frac{1}{v}\frac{dv}{dt}=-\frac{k}{m}\\
両辺をtについて積分\\
\int\frac{1}{v}\frac{dv}{dt}dt=-\int\frac{k}{m}dt\\
こうなると、左辺のdtが消える性質があるので、\\
\int\frac{1}{v}dv=-\int\frac{k}{m}dt\\
左辺の積分は、高校の数Ⅲの力を利用して解けるので、\\
\log{v}=-\frac{k}{m}t+C_1…⑤\\$$

よって、対数の定義から、⑤はこう表せます。


$$v=e^{-\frac{k}{m}t+C_1}\\
=e^{C_1}e^{-\frac{k}{m}t}\\
=C_2e^{-\frac{k}{m}t}$$

\(C_1\)は積分定数より、\(e^{C_1}\)は定数になります。(定数乗していたら、定数になります)よって、新たに\(C_2\)という積分定数を置きました。

ここで、定数変化法という技を使います。

\(C_2\)という定数を、変数と見立てて、\(v=C_2(t)e^{-\frac{k}{m}t}\)とするものです。

これも数Ⅲの微分の性質を使って微分すると、こうなります。


$$\frac{dv}{dt}={C_2}'(t)e^{-\frac{k}{m}t}+C_2(t)(e^{-\frac{k}{m}t})’\\
={C_2}'(t)e^{-\frac{k}{m}t}+C_2(t)(-\frac{k}{m})e^{-\frac{k}{m}t}$$

よって、上の微分の結果と③から、


$$\frac{dv}{dt}+\frac{k}{m}v\\
=({C_2}'(t)e^{-\frac{k}{m}t}\color{red}{-C_2(t)\frac{k}{m}e^{-\frac{k}{m}t}})\color{red}{+\frac{k}{m}C_2(t)e^{-\frac{k}{m}t}}\\
=g$$

赤の部分が消えて、


$${C_2}'(t)e^{-\frac{k}{m}t}=g\\
両辺にe^{\frac{k}{m}t}をかけて、\\
{C_2}'(t)=ge^{\frac{k}{m}t}\\
両辺をtについて積分して、\\
C_2(t)=\int{g}e^{\frac{k}{m}t}dt\\
数Ⅲの力を借りて、\\
C_2(t)=\frac{mg}{k}e^{\frac{k}{m}t}+C_3$$

\(v=C_2(t)e^{-\frac{k}{m}t}\)だったので、代入して、


$$v=(\frac{mg}{k}e^{\frac{k}{m}t}+C_3)e^{-\frac{k}{m}t}…⑥$$

v(0)=0より、t=0、v=0を代入して、


$$0=(\frac{mg}{k}e^{\frac{k}{m}・0}+C_3)e^{-\frac{k}{m}・0}\\
C_3=-\frac{mg}{k}$$

よって、求める答えは、さっき出した\(C_3\)を⑥に代入してきれいにすると、こうなります。


$$\color{red}{v=\frac{mg}{k}(1-e^{-\frac{k}{m}t})}$$

長い道のりでしたが、こんな感じで求めます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

上級編だったので、数Ⅲの知識がないと厳しいですが、数Ⅲができるとそんなに驚く必要はないと思います。

とにかく手を動かし、計算力を磨いていって、皆さんガリレオみたいになりましょう笑

問題の参照はこちらです。

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