どうもビチューです。
今回は電気電子回路で出てくるRLC回路の電源がないバージョンの微分方程式、つまり、減衰振動について解いていこうと思います。
電源がないRLC回路の微分方程式
$$L\frac{d^2Q(t)}{dt^2}+R\frac{dQ(t)}{dt}+\frac{1}{C}Q(t)=0$$
$$両辺をLで割ると、$$
$$\frac{d^2Q(t)}{dt^2}+\frac{R}{L}\frac{dQ(t)}{dt}+\frac{1}{LC}Q(t)=0$$
$$ω^2=\frac{1}{LC}、\frac{R}{L}=2γ とおくと、$$
$$\frac{d^2Q(t)}{dt^2}+2γ\frac{dQ(t)}{dt}+ω^2Q(t)=0 $$
$$さあ、ここでどうするか…$$
$$\frac{d}{dt}e^t=e^t $$
$$ネイピア数eとして、指数関数e^tは、何回微分しても変わらないゾンビみたいな$$
$$数なのでこれならラクそうです!$$
$$さらに、$$
$$\frac{d}{dt}e^λt=λe^{λt} $$
$$\frac{d^n}{dt^n}e^λt=λ^ne^{λt}$$
$$これはなんか使ったら都合よさそうなので、採用します! $$
$$ゆえに、Q(t)=e^{λt}とおくと、$$
$$\frac{d^2}{dt^2}e^{λt}+2γ\frac{d}{dt}e^{λt}+ω^2e^{λt}=0$$
$$λ^2e^{λt}+2γλe^{λt}+ω^2e^{λt}=0 $$
$$e^{λt}でくくると、 $$
$$(λ^2+2γλ+ω^2)e^{λt}=0$$
$$e^{λt}>0より、この式の条件を満たすためには、$$
$$λ^2+2γλ+ω^2=0でなければなりません!$$
$$中学校で習った二次方程式の解の公式より、$$
$$λ=-γ±\sqrt{γ^2-ω^2}$$
$$ふたつ解が出てくるので、どちらをおいてもいいのですが、とりあえず、$$
$$λ_1=-γ+\sqrt{γ^2-ω^2}、λ_2=-γ-\sqrt{γ^2-ω^2}$$
$$と置きます。$$
$$Q(t)=e^{λt}より、さっき出したλをぶち込むと、$$
$$Q(t)=e^{(-γ±\sqrt{γ^2-ω^2})t}$$
$$より簡潔に表すと、$$
$$Q_1(t)=e^{λ_1t}、Q_2(t)=e^{λ_2t}$$
$$となります!$$
$$Q_1(t)、Q_2(t)は、さっき出した2つの解を定義しています。$$
$$これらの解は任意の定数を含まないので、一般解ではありません。$$
$$よって、この解のどちらでもいいのですが、とりあえず、$$
$$定数変化法より、Q(t)=C_1(t)e^{λ_1t}とすると、$$
$$\frac{dQ(t)}{dt}=(C_1(t))’e^{λ_1t}+C_1(t)(e^{λ_1t})’$$
$$ =\frac{dC_1(t)}{dt}e^{λ_1t}+C_1(t)λ_1e^{λ_1t}$$
$$\frac{d^2Q(t)}{dt^2}=(\frac{dC_1(t)}{dt})’e^{λ_1t}+\frac{dC_1(t)}{dt}(e^{λ_1t})’$$
$$ +(C_1(t))’λ_1e^{λ_1t}+C_1(t)(λ_1e^{λ_1t})’$$
$$ =\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}e^{λ_1t}+2λ_1\frac{dC_1(t)} {dt}e^{λ_1t}+C_1(t)λ_1^2e^{λ_1t}$$
$$ここで、\frac{d^2Q(t)}{dt^2}+2γ\frac{dQ(t)}{dt}+ω^2Q(t)=0ー①$$
$$と置き、①についさっき求めた\frac{dQ(t)}{dt}、\frac{d^2Q(t)}{dt^2}を代入します。$$
$$(\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}e^{λ_1t}+2λ_1\frac{dC_1(t)}{dt}e^{λ_1t}+C_1(t)λ_1^2e^{λ_1t})$$
$$+2γ(\frac{dC_1(t)}{dt}e^{λ_1t}+C_1(t)λ_1e^{λ_1t})+ω^2C_1(t)e^{λ_1t}=0 $$
$$また、Q(t)=C_1(t)e^{λ_1t}なのは、最初にそう定義したからです。$$
$$e^{λ_1t}でくくると、$$
$$ \left\{\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}+2(λ_1+γ)\frac{dC_1(t)}{dt}+(λ_1^2+2γλ_1+ω^2)C_1(t)\right\}e^{λ_1t}=0$$
$$e^{λ_1t}>0より、両辺をe^{λ_1t}でわると、 $$
$$\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}+2(λ_1+γ)\frac{dC_1(t)}{dt}+(λ_1^2+2γλ_1+ω^2)C_1(t)=0ー② $$
$$λ^2+2γλ+ω^2=0より、②に代入します。$$
$$\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}+2(λ_1+γ)\frac{dC_1(t)}{dt}=0 $$
$$これはもはやテクニックになってしまうのですが、ここで両辺にe^{2(λ_1+γ)t}をかけると、$$
$$e^{2(λ_1+γ)t}\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}+2(λ_1+γ)e^{2(λ_1+γ)t}\frac{dC_1(t)}{dt}=0-③ $$
$$ここで、\frac{d}{dt}(e^{2(λ_1+γ)t}\frac{dC_1(t)}{dt})を計算してみます。すると、$$
$$\frac{d}{dt}(e^{2(λ_1+γ)t}\frac{dC_1(t)}{dt}) $$
$$ =(e^{2(λ_1+γ)t})’\frac{dC_1(t)}{dt}+e^{2(λ_1+γ)t}(\frac{dC_1(t)}{dt})’$$
$$ =2(λ_1+γ)e^{2(λ_1+γ)t}\frac{dC_1(t)}{dt}+e^{2(λ_1+γ)t}\frac{d^2C_1(t)}{dt^2}$$
$$ =0(よーく見たら、③の方程式と同じですね)$$
$$よって、\frac{d}{dt}(e^{2(λ_1+γ)t}\frac{dC_1(t)}{dt})=0ー④$$
$$さらに、λ_1+λ_2を計算すると、$$
$$λ_1+λ_2=(-γ+\sqrt{γ^2-ω^2})+(-γ-\sqrt{γ^2-ω^2})$$
$$ =-2γ$$
$$また、2(λ_1+γ)=2λ_1+2γ$$
$$ =2λ_1-(-2γ)$$
$$ =2λ_1-(λ_1+λ_2)$$
$$ =λ_1-λ_2$$
$$ゆえに、④は、\frac{d}{dt}(e^{(λ_1-λ_2)t}\frac{dC_1(t)}{dt})=0となります!$$
$$これをtで積分すると、Cを積分定数として、$$
$$e^{(λ_1-λ_2)t}\frac{dC_1(t)}{dt}=C $$
$$この式の両辺をe^{(λ_1-λ_2)t}でわると、$$
$$\frac{dC_1(t)}{dt}=C\frac{1}{e^{(λ_1-λ_2)t}}$$
$$eの指数の部分に注意して計算すると、$$
$$\frac{dC_1(t)}{dt}=Ce^{(λ_2-λ_1)t}$$
$$さらに、この両辺をtで積分し、αを積分定数とすると、$$
$$C_1(t)=C\int{e^{(λ_2-λ_1)t}}dt+α$$
解の場合分け
$$①λ_1=λ_2のとき$$
$$C_1(t)=C\int{}dt+α$$
$$よって、Q(t)=(Ct+α)e^{λ_1t}$$
$$ここで、λ_1=λ_2のときとはつまり、$$
$$-γ+\sqrt{γ^2-ω^2}=-γ-\sqrt{γ^2-ω^2}$$
$$2\sqrt{γ^2-ω^2}=0$$
$$\sqrt{γ^2-ω^2}=0$$
$$∴ω^2=γ^2(∴は「ゆえに」という意味です)$$
$$このとき、λ_1=λ_2=-γ$$
$$∴一般解は、α、βを任意の定数とおいて、$$
$$Q(t)=(α+βt)e^{-γt}$$
$$②λ_1{\neq}λ_2のとき$$
$$C_1(t)=C\int{e^{(λ_2-λ_1)t}}dt+αを積分すると、$$
$$C_1(t)=\frac{C}{λ_2-λ_1}e^{(λ_2-λ_1)t}+α$$
$$②のときはつまり、ω^2{\neq}γ^2ですが、\sqrt{γ^2-ω^2}の中の部分が正か負かで考えなければなりません。$$
$$ということで、さらに場合分けをしていきます!$$
$$(ⅰ)γ^2-ω^2>0のとき、$$
$$λ_1=-γ+\sqrt{γ^2-ω^2}、λ_2=-γ-\sqrt{γ^2-ω^2}$$
$$∴一般解は、先ほど同様に任意の定数を使って、$$
$$Q(t)=αe^{(-γ+\sqrt{γ^2-ω^2})t}+βe^{(-γ-\sqrt{γ^2-ω^2})t}$$
$$(ⅱ)γ^2-ω^2<0のとき、虚数の関係に注意して、$$
$$λ_1=-γ+i\sqrt{ω^2-γ^2}、λ_2=-γ-i\sqrt{ω^2-γ^2}$$
$$∴一般解は、$$
$$Q(t)=αe^{(-γ+i\sqrt{ω^2-γ^2})t}+βe^{(-γ-i\sqrt{ω^2-γ^2})t}$$
$$となります!$$
RLC回路の微分方程式の解のまとめ
$$以上より、答えをまとめると、$$
$$Q(t)=(α+βt)e^{-γt} (γ^2-ω^2=0のとき)ー①$$
$$Q(t)=αe^{(-γ+\sqrt{γ^2-ω^2})t}+βe^{(-γ-\sqrt{γ^2-ω^2})t} (γ^2-ω^2>0のとき)ー②$$
$$Q(t)=αe^{(-γ+i\sqrt{ω^2-γ^2})t}+βe^{(-γ-i\sqrt{ω^2-γ^2})t} (γ^2-ω^2<0のとき)ー③$$
$$の3つとなります!$$
$$①を臨界減衰、②を過減衰、③を減衰振動と呼びます。$$
$$計算はかなり大変ですが、わかると面白いなと思ったので、やってみました!$$
$$参考にした本も載せておきます!$$
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